To be naked is not a grief

Denmark放浪記・奔放な人生を祝って

渡航準備、住まい探し、今後について

デンマークに滞在してちょうど二か月が経つので、渡航前から今に至るまでの中間報告記事です。ワーホリビザを使って渡航予定の方の参考にはあまり(いや全く)ならないかもしれません。随時更新する可能性があります。(※2023/07/27更新)

 

 

デンマークのワーホリビザ申請について(2022年9月時点)

デンマークのビザ申請方法 | ETIAS application site (etias-web.com)

一部例外を除き、ワーホリビザは30歳までという年齢制限があります。

 

私は30歳最後の日、つまり31歳の誕生日前日に人生初のビザ申請をする(10日前に申請準備を始める)という無謀な行動をしましたが無事に居住許可が下りました。

 

ビザ申請に必要なものは、①資金所有の英文証明書(復路航空券資金や滞在資金があるかの証明書)②パスポートのコピー③居住許可申請書(入局管理局:new to denmarkにてID作成)④身分証(私はマイナンバーカードを使用)⑤全滞在期間に適用する医療保険加入証明書⑥事務手数料*1 でした。

港区にある「VFS.GLOBALビザ申請センター(以下ビザ申請センター)」の予約を取り、申請前又は申請と同時に生体認証登録をすることも必須条件です。

 

10日間でなんとかなったのは以下の要因が影響しているので、なんとかならないこともあると思います。どうか参考にしないでください。

・東京住まいで平日昼間にサクッと休める仕事をしていたこと(ビザ申請センターは月曜から木曜のみの営業、かつ予約枠が限られている)

三菱UFJ銀行を使っていたこと(残高証明のオンライン申請が可能だったため最短で窓口で受け取れた)

・パスポートの有効期限に余裕があったこと(5年前の初作成時*2、10年間を選んでいた自分に感謝)

・締め切り直前にのみ発揮される謎の集中力と判断力(実績多数)

 

実は、⑤医療保険の加入だけ間に合わなかった(私が使おうとした保険会社は渡航半年前の加入が出来なかった)ので、その旨を入国管理局と日本のビザ申請センターに事前にメールしました。前者には「もうすぐ31歳で最初で最後のワーホリビザなんです。ご慈悲を」と拙い英語力で懇願しました。ビザ申請センターは日本語のやり取りが可能でほっとしたのを覚えています(外国語で会話しなきゃと思うと心臓がバクバクしていたので)。「渡航予定が半年以上先だし、医療保険加入証明もないし、許可が下りるかはわからない」と窓口の方に言われましたが、翌月保険証の電子データを入国管理局にオンライン提出したところ、その一か月後(申請から約50日後)に居住許可証(A4用紙)が日本に届きました。

※ネット検索すると、医療保険加入証明書なしで許可が下りた人もいます。デンマークでは住所の登録をすればマイナンバー(PCR番号)が発行されてイエローカードと呼ばれる保険証を取得でき、ビザ所有の外国人は医療費が無料なので日本で民間の医療保険に加入しないという選択肢も十分ありだと思います*3。ただし薬代は自身で支払う必要があります。日本の医療機関のようにこまめに受診して治療するという発想ではなく、基本的には近所のかかりつけ医を指定(これはイタリアの家庭医制度と類似している)して相談、必要に応じて紹介状作成という流れ。多くの人は熱発したとしてもすぐ受診というより市販薬や自己免疫機能に頼って様子見とのことです。

 

ビザ申請に関する有益情報や暮らし方はインターネットにたくさん転がっているので是非そちらを参考にしてください。基本的に私は自分に役立つ話しかできないのですが、ブログを通して「何かを失ったとしても、人生って愉快だし、なんとかなる(間に合わなかった部分は自分自身で責任を取れる)」というメッセージが伝われば嬉しいです。

では以下からは平常運転で🎉。

 

 

初の海外単身居住、事前にしておいてよかったこと

①ミレーナ(子宮内避妊システム)の装着:使用5年+3年目になるミレーナの効果で、私は月経に悩まされることがない*4ので異国での環境の変化や衛生問題に悩まずに済んでいる

②コンドーム頼みではない自主避妊:上記の効果でどこで暮らしていても予期せぬ妊娠の不安がない

③健康診断(がん、性感染症検査を含む):備えあれば患いなしということで一通り済ませて渡航した。私はこちらでは住所不定無職*5のため先述した医療等の社会保障を利用できずに今に至る。余談だが、HIV性感染症検査は、結果を家庭医に知らされることなく、住民登録(マイナンバー)がなくてもクリニックで対応可能(参考)。日本の保健所もそうだけど、公衆衛生のために敷居が低くなっているのだな

③'定期的な歯科検診:デンマークでは18歳までは公費で歯科治療が無料だが大人は高額。日本で加入した医療保険も歯科のみ補填なしだったので予防に努めて虫歯なしの状態で渡航できてよかった。お気に入りの歯ブラシ数本と大量のデンタルフロスを持参している

④ほぼ坊主:劣悪なシャワー環境でも問題ない、ヘアケア用品の持ち込みも不要で荷物がかさばらない、しばらく美容院に行く必要もない(でもだいぶ髪が伸びてきてしまった)

⑤住民票喪失:今回役所で手続きをして初めて知ったんだけど、一年以上の海外生活を予定している場合は住民票を喪失する必要があるそうだ。半年から一年の間の人はグレーゾーンで住民票をなくしても残してもいい(生活基盤は日本にあるとしてもいい)と案内されたので喪失してみた😊。その影響で日本のマイナンバーカードも廃止となった。カードそのものは返納せずに自己保管し、帰国後に再利用する流れ。今年度分の住民税の支払いは口座から引落し。また、未届けの妻・夫の証明も住民票と同時に喪失。婚姻関係(事実婚の生活実態)がほぼ解消*6されたので新しい人間関係に飛び込む覚悟ができた

⑥オンライン英会話:少しでも日本語音声使用不可の環境に慣れておいて良かった

⑦脇と尻の永久脱毛:脇はこれまで毎日剃毛していた部分なので時間短縮になっており、尻についてはウォシュレットがないので助かっている

 

後悔していること

ヴィーガン料理の自炊力をつけておくべきだった:今の同居人がヴィーガンなのでそれに合わせている。毎日自炊するように言われているのだが、レパートリーが少ない。たいてい朝食はデンマーク産ビスケット(Kammerjunker)・麦牛乳・林檎。夕食はライ麦パンに具材を乗せたデンマーク流サンドイッチ(smørrebrød)を真似たものと汁物を作っている

②日本伝統芸能の鑑賞経験をもっと積むべきだった。時々ピアノも弾きたくなる

③ありすぎて書ききれない(諦める)

 

嬉しかったこと

①カンパをいただいた:無計画なまま飛び出したためにお金がなくなったので不特定多数に助けを求めたところ、複数人から応援してもらえて本当に有難かった。研修の申し込みも間に合い、少しだけ滞在延長できることになった(しかもデンマークで出来た友人も送金してくれるという胸熱展開)

②想像以上に公共トイレが使いやすい:コペンハーゲン周辺の公共トイレは広くて綺麗。男女別のトイレの他、性別を問わないトイレも多く見かけてほっとする。イタリアの公共トイレは便座さえないところもあったから(便座の窃盗防止で)

 

③住まいがなんとか見つかった:渡航する前には決まっておらず当初1か月は最安値ドミトリーを転々としていたが、今はairbnb経由で出会った絵本作家の家に寝泊まりしていて、来月からは精神科医の女性とその家族のもとでお世話になる。再来月からはAarhusやRibeでも暮らす予定。すべて見知らぬ人の家だけど、日本でのそれに慣れすぎていて何の問題もない。airbnb経由の住まいでも住民登録(マイナンバーであるPCR番号の取得)ができる場合があるが、結局はホスト次第(事前に確認できると良い。私は入金後改めて自己紹介したところ3ヶ月以上滞在するなら住民登録OKだよと言われた)。そして10万〜50万くらいのデポジットを支払えてかつ英語が堪能な人は、デンマークのコレクティブハウスのコミュニティがおすすめ。ただし夏季のみの賃貸も多い。周囲から紹介されたのは、村の仕事を手伝う代わりに無償で暮らせるコミュニティビレッジ(デンマーク最大のエコビレッジ・Svanholm)。他にも、個人宅等に住み込みで働くことで家賃不要のマッチングサービス(workaway.info)は多くの方が利用しているようだ。「教育関連のプロジェクトで学校に住み込みで働けて良かった」「家事をするはずだったけどホストファミリーと相性が悪くて途中で離れた」など色々な意見を聞いた。私の英語力では無賃労働の中で交渉してフェアな関係に挑むことが出来ないので、とりあえず(相当な粗相をしなければ)追い出される不安のない有償の住まいを今は選択している

ホストが大事にしている花や庭の水やりが私の役目になっている。欠かしてはいけない日課。手を抜いてはいけない何かを世話できるということは幸福なのだとわかる

 

ひとまずの所感

①どこにいても変われない、変わらない:新しい経験や学びはたくさんあるけれど、人生の何に価値を置くかはブレないし、言うことやることは結局同じ

 

②言語能力が不足しているおかげで、出会いにくかった人と出会えている:日本では日本語を過剰に使ってしまう私がいて、自分が削られないように保守的な人とはあまり親密関係に踏み込めなかったけど、こちらではそうでもない。フェミニスト話をしたらめっちゃ嫌な顔をされたけども…

 

③ナンパ師(ここでは、どこか浮き世離れしていて好奇心旺盛な男、新しい刺激に弱く、共通項がない他人の懐に入る技術が高い人を指す)が人生の節目に現れていつも私を助けてくれるということ:ナンパ師に拒絶反応が無いのは、運よく嫌な思いをしていないのもあるけど、私自身もネットナンパ師だからかもしれない。今もインターネットで見つけたデンマークに縁のある人々に突然連絡を入れている

 

④あなたのつまらないと感じている人生を私で埋めようとしないでほしい、ということ:これは8年前の契約結婚時に「あなたに幸せにしてもらおうとなんて思っていないし、あなたを幸せにすることもできない。私を幸せにできるのは私だけである(あなたも同じ思いなら、そのうえで、私たちは愉快に関係することができる)」と感じていたことを思い返している。旅の間はいつもそうだが、自分からこまめに人と連絡取ろうと全く思わないけど、ふと思い出したように「あのさ」とあっさり連絡をくれる人のことが大好き。いつ散ってしまうかもわからない余生なので、一方的に消費される誰かの人生の道具になりたくないし、だからこそ生き延びることを諦めない人たちと繋がりたい

 

今後について

もともと、性教育の取り組みが面白いと思っていたこと(全国放送の子ども向け番組で様々な体型や特徴を持った一般人たちが全裸になる番組がある)、フォルケホイスコーレ*7とLGBTQ関連で先進国であるという以外は何も下調べもせず勢いのまま渡航してしまって、今ようやくデンマークについて情報収集している。北欧の社会福祉はもちろんのこと、ヤンテの掟(Janteloven)、現代にかけては「デンマークにおける宗教の重要性は年々薄まっており、キリスト教徒がまばらになりつつあるという話も興味深かった。C.クラウチ『グローバリゼーション・バックラッシュ』書評「富山は日本のスウェーデン」なのか――井手=小熊論争を読み解くというSYNODOS記事も面白かった。移民施策についての解像度も少し上がってきたかな…。日本で生まれて日本で生きてきた、日本にルーツのある自分自身とそれを取り巻く社会について改めて考える機会を得れて心から嬉しい。政治家とも交流してくる予定。その他デンマークに関する面白そうな情報があればぜひ教えてください。よろしくお願いします!

 

なにより

コペンハーゲン行きの航空券を買ったという奔放な人たちから連絡があり驚いている。飛行機も物価も高額ですが、こちらで会える方がいたら是非ご連絡ください。もし渡航によって経済的に困窮したら、帰国した私(今回の滞在で全財産を失う)と一緒に一から立て直しましょう

 

毎日水をやり続けたら咲いた花、すごく嬉しかったです

*1:学生ビザと違ってワーホリビザそのものは無償

*2:精神保健に関する仕事でイタリアに渡航する必要があった

*3:ただ、特段の事情があるわけではなく余暇で滞在する外国人がデンマーク社会保障の恩恵を受けるのならば、個人の考えとしては、現地にしっかりお金を落とすとか、ボランティア活動をするとか、出来れば働いて納税できたほうがよいなと。私の場合は年齢制限があり再申請できない状況だったので、医療保険未加入を理由にビザが却下される可能性を避けたかったのと、自分が万が一死亡した時に若い親族に金が入って欲しかったので民間保険に加入した

*4:個人差が大きいが、私は現在下着が汚れないレベルの僅かな経血が2日間あるくらい

*5:日本企業のリモートワークを週10時間程度しているので厳密には無職ではない

*6:しかし私物はまだ家にあるし、水光熱費は私がまだ支払っていて、公正証書もまだ残っている

*7:グルンドヴィのコンセプト「人間同士の対話による相互の人格形成」を土壌とした北欧独自の宿舎型成人教育制度。 デンマーク国内では約70校あり、175年以上の歴史、文化と伝統を継承している。でも私は計画が杜撰で結局行けていない